2024.03.27
叢生(歯の凸凹)、過蓋咬合、出っ歯の裏側矯正治療例
みなさんこんにちは。日本橋はやし矯正歯科 総院長の林 一夫です。
今回は叢生(歯の凸凹)、過蓋咬合(深い咬み合わせ)、出っ歯の裏側矯正での治療例をご紹介いたします。
※こちらの記事は今回の患者様の事例です。実際の治療は個人差がありますのであくまで参考とお考えください。
26歳の女性。叢生(歯並びの凸凹)と過蓋咬合(咬み合わせが深いこと/ディープバイトとも言います)、出っ歯の改善を希望されてカウンセリングにいらっしゃいました。
治療前の評価について
治療前は写真に基づき様々な評価をしていきます。その写真と評価を以下に紹介していきます。
治療前の正貌の評価
正面からのお顔を正貌といいます。
正貌はお顔の左右の対象/非対称を評価します。この患者さまのお顔は左右対象でした。
治療前の側貌の評価
横からのお顔が側貌です。
側貌はお顔のタイプ、上顎または下顎が出ているかを評価します。
この患者さまは上顎が少し出ている「コンベックス・タイプ」に分類されます。
治療前の唇の位置の評価
矯正治療の計画を立てるにあたり、お口の形などの印象を与える唇の位置の評価はとても大切なものです。
これはイーライン(Eライン、E-ilne)を基準に評価します。こちらの患者さまは上下の唇の位置は平均的でした。
治療前の口腔内正面の評価
正面のお写真では、咬み合わせの深さがはっきりと認められました。
そして中切歯の左側は咬み合わせが深くなってしまっていますね。
治療前の口腔内上下顎の評価
上下の顎のお写真は「ものを咬む」という意味で咬合面観といいます。
上顎 | 下顎 |
このお写真では狭窄歯列弓が認められました。
狭窄歯列弓という症状と抜歯について
狭窄歯列弓って?
歯並びのアーチを「歯列弓」といいますが、このアーチが中央付近で狭くなっているのは不正な状態です。この状態を狭窄歯列弓といいます。
こちらの患者さまの症状は「鞍状歯列弓」とも呼ばれます。
非抜歯での狭窄歯列弓の治療について
まず、狭くなっている部分の歯列を横に広げてアーチ部分を大きくする「歯列弓の側方拡大」を行います。これにより歯の凸凹が整いやすくなります。
それからIPR(Inter Proximal Reduction)という処置を行います。ディスキングとも呼ばれる、歯と歯の間のエナメル質をほんの少し削る処置です。
これにより歯と歯の間に隙間が生まれ、非抜歯でも歯列を揃えることができます。
※今回は「親知らず」は水平埋伏、つまり歯茎の中で横に生えている状態でしたので治療前に抜歯いたしました。
治療前の抜歯についての考え方
矯正治療計画を立てるにあたって重要な事項に「抜歯をする・しない」の決定があります。
抜歯は、患者さまのご希望と口腔内の状態を見ながら3Dデジタル矯正でシミュレーションし、どこまでどう改善するかを患者さまと歯科医師で確認し、結果を共有しながら決定してまいります。
非抜歯の場合は場合によっては前歯が唇側に出てしまうこともありますが、今回の患者さまの状態ではそのリスクを抑えることができました。
※すべての患者さまが非抜歯でご希望通り整うとは限りませんので、必ずカウンセリング時に確認ください。
患者様へのご説明、治療プランの決定
上記を踏まえ、患者さまに副作用やリスクもご説明し、治療に進みました。
こちらのご説明内容はとても重要な情報ですのでいつも掲載しています。お読みの方はぜひチェックしておいてください。
- 診断:上下顎狭窄歯列弓を伴うskeletal Class II傾向/Angle I 級叢生症例
- 治療法:非抜歯、上下顎裏側矯正
- 治療期間:1年10カ月
- 治療費:140万円(通院回数24回)すべて税込み
- リスク:IPRによる知覚過敏、前歯部のブラックトライアングル、歯根吸収
- 副作用:治療中の発音への影響、治療後の凸凹の後戻り
※治療費は2024年3月現在の金額です
歯の凸凹や咬み合わせ、そして出っ歯が改善しました!
上下裏側矯正の治療で、治療後はこのようになりました。
1年10ヶ月の治療でここまで整いました!
次に歯列弓を見てみましょう。
上顎 | 下顎 |
狭くなっている部分が適切に広がっていることがわかります。
そしてIPRで生まれたスペースのおかげで、抜歯することなく歯の凸凹が整いました。
状況により様々な処置を行っています
今回は非抜歯で歯列を整えるためIPRという歯を少し削る処置がとても重要なものでしたが、処置の判断はもちろん、処置自体も矯正歯科医の技術が問われるものでした。
当院は患者さまのご希望や口腔内の状況を把握し、患者さまとコミュニケーションをとりながら最善と思われる治療を行なっております。
カウンセリングは無料ですのでぜひご連絡ください。