2019.11.22
治療にとても大切な顎間ゴム(エラスティック)って何?
日本橋はやし矯正歯科院長の林 一夫です。
顎間ゴム(エラスティック)は矯正治療中に多用されます。すでに使用経験がある方も多いでしょう。
多用されるということはそれだけ大切なものだということですね。
なぜ大切なものか、使用するときの注意点などについてまとめましたので矯正治療をしている・検討されている方はぜひお読みください。
顎間ゴム(エラスティック)は「輪ゴム」です
矯正治療中の歯の前後、もしくは上下のバランスを整えるためにこの顎間ゴムを使用します。
形状は一般のご家庭にある輪ゴムと一緒で、上顎と下顎の間に用いるので「顎間(顎の間)ゴム」という名前が付いています。
歯を移動するからにはよほどの力で引っ張るのだろうと思いきやそうでもなく、会話などにそれほど支障があるものではありません。
顎間ゴム使用にあたりお願いすること
そうは言ってもゴムがあるのとないのとではだいぶ違います。
滑舌が悪くなってしまったり、外側から見えるので笑顔を作りづらくなってしまったりすることもあります。
お食事の時には邪魔になってしまうことが多いので、必要に応じて外していただけます。
そう、患者さまの生活の中で装着・脱着をするものです。
患者さまで管理できるからこそ、私たちは顎間ゴムを使用する患者さまに様々なお願いをしています。
なるべく長時間装着する
人とお話したり会食をしたり、お仕事で重要な打ち合わせがあるなど必要なとき以外は、できるだけ装着してください。
外していると歯が動かなくなるどころか、元の位置に戻ろうとするので、せっかくの矯正治療の効率が落ちてしまいます。
そうなると治療計画通りに進まなくなることもあります。
必ず毎日交換する
顎間ゴムは劣化や破損の恐れがありますので、毎日必ず新しいものに交換することが必要です。
また、毎日変えるというのは「患者さまに習慣づけてもらう」という理由もあります。
もちろん忘れてしまった場合はなるべく早く取り替えましょう。
気づいた時に取り替えられるよう、鞄の中に必ず入れているという方もいらっしゃいます。いくつかゴムを入れたケースを用意し、ポケットに入れておくというのも良い方法です。
手持ちの顎間ゴムが減っちゃって不安…という方は、通院時に言っていただければ多めにお渡ししておりますので、ご遠慮なくお申し付けください。
(顎間ゴムは治療費に含まれていますのでご安心ください)
顎間ゴムのかけ方いろいろ
顎間ゴムは症状によってかけ方を変えています。かけ方によって「II 級、III級」などと呼ばれます。
出っ歯などを改善したい場合はII級ゴム
上顎を奥に押し込む形で改善したい場合はII級ゴムという方法になります。
出っ歯(上顎前突)の方などに用います。
受け口などを改善したい場合はIII級ゴム
下顎をを奥に押し込む形で改善したい場合はII級ゴムという方法になります。
下顎前突(反対咬合・受け口)の方などに用います。
開咬などを改善したい場合は垂直ゴム
噛み合わない部分を改善したい場合は垂直ゴムという方法になります。Up and Downエラスティックとも呼ばれます。
開咬、つまり前歯が噛み合わない方などに用います。
裏側矯正でも使用します!
これまでの画像を見ていると「顎間ゴムは表側矯正専用?」と思われるかもしれませんが、もちろん裏側矯正にも使用します。
裏側矯正の場合の顎間ゴムのかけ方は二通りあります。
歯の表に透明なボタン状のものを着けてそこに装着する方法
ゴムはとても掛けやすいですが、まれにボタン状のものが脱落する場合があります。
その場合はクリニックに早めにご連絡ください。
裏側矯正装置にゴムをかける方法
「矯正装置を目立たせたくないから裏側矯正にしたのに、ゴムを表にかけるのはちょっと…」という方は裏側矯正装置に直接ゴムをかけていただきます。
このようになります。
裏側にかけるのはちょっとコツが要ります。クリニックで説明していますが、気になった方は通院時にいつでも相談してください。
顎間ゴムは治療にとても有効で大切なものですのでできるだけ長時間かけていただくようにお願いしています。
毎日の生活の中で「こんな時は外していいかな?」という疑問も浮かんでくると思いますので、その都度メモなどにして通院時にぜひご質問くださいね。